温泉だけを巡る黒部峡谷の旅①:秘湯の露天風呂とマイ温泉作り
秘湯の宝庫、黒部峡谷へ
昨年の9月末、ふと思い立って黒部峡谷に弾丸で温泉旅に出ました。黒部峡谷には魅力的な秘湯がたくさんあって以前から気になっていて、衝動が抑えきれなくなってしまい夜行バスで富山に一人向かいました。
富山駅に到着したのは朝6:00頃。JR線と富山地鉄を乗り継いで宇奈月温泉駅へ。富山は新幹線ができてから活性化しましたね。
宇奈月温泉からは黒部峡谷鉄道のトロッコ列車に乗り換えます。終点の欅平(けやきだいら)駅までは1時間15分ほどの乗車です。
黒部峡谷の最奥、祖母谷温泉
宇奈月から南下してきた黒部峡谷は欅平から南方、西方、東方の3つに分かれています。南方は「水平歩道」と呼ばれる黒部川第四発電所の建設に使われた非常に険しい登山道を通って阿曽原温泉小屋を経由し、最終的には立山の近くの黒部ダムに到達します。
一方で東方に向かう道は整備されて比較的歩きやすくなっており、今回はこの道を通って祖母谷(ばばだに)温泉に向かいました。
欅平から祖母谷温泉までは緩い上り坂が続き、片道およそ40分かかります。道自体は車も通行できるほど舗装されていますが、途中長いトンネルがあって一人で歩くのは少し怖かったです。ひたすら歩き続けてやや強い硫黄臭を感じ、左手に建物が見えてきたら、そこが祖母谷温泉です。
祖母谷温泉には日帰り入浴できる大きな露天風呂があり、そこでゆっくり温まることができます。険しい山に囲まれた場所で、青空を見上げつつ川の流れる音を聞いて、温泉を堪能できました。ちなみに露天風呂は男女別になっていて、女子の露天風呂はもう少し囲われた感じになっていました。
もちろんこの露天風呂も素晴らしかったのですが、実は先立ってこの温泉が湧いている祖母谷地獄を見に行きました。温泉小屋の少し上流の河原に、超高温の温泉が湧いている場所があります。河原からは湯気がもくもくと湧き上がっており、一目で温泉が湧いていることがわかります。
温泉が湧き出しているスポットにも容易に近づけます。源泉は黒みがかった色をしており、見るからに熱いです。さすがに火傷しそうなので源泉には触りませんでした。83℃もあるそうです。
祖母谷温泉の源泉はいくぶんかは先ほどの温泉小屋に引き込まれていますが、残りは川に流れ込んでいます。すると、河原には非常に熱い源泉と冷たい川の水が交じるところができ、理論上は「ちょうどいい温度」のお湯の場所ができます。観光パンフレットにも「川原の石を使って源泉と川の水をいい感じに配合し、自分だけのお風呂を作ろう!」的なことが書いてあります。先ほどの温泉小屋でスコップを借りて、お風呂をつくることができます。
しかし、実際はそんなにうまくは行きません。そもそも温度が違う水は放っておいてもすぐには混じりませんから、源泉と川の水が同じ場所に流れ込んでいても「触れないほど熱い」か「ひんやり冷たい」のいずれかにしかなりません。いろいろ試してみましたが、重い石をさんざん動かして疲れた挙げ句、足湯程度なら耐えられる熱さの場所ができたくらいで、浸かることができるお風呂は作れる気配がありませんでした。お風呂づくりは少し楽しむ程度にして、温泉に入るのはやはり小屋の露天風呂がいいですね。
川沿いの岩露天風呂が魅力の名剣温泉
祖母谷温泉から欅平駅に戻る途中には名剣(めいけん)温泉があります。こちらはかなり綺麗な温泉旅館で、日本秘湯を守る会にも入っているようでした。こちらにも日帰り入浴で立ち寄ってみました。
峡谷を間近に見下ろす岩露天風呂があり、峡谷が険しいぶん祖母谷温泉よりも自然に包まれている雰囲気です。温泉は祖母谷温泉から引いているので泉質はほぼ同じです。どちらかというとゆっくり宿泊して何回も入りたいタイプの温泉でした。
僕が訪問したときはどちらの温泉にも誰もおらず、ゆっくりと入浴を楽しむことができました。観光のハイシーズンはもう少し混み合うのかもしれません。